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【上演台本】Fの階『なにごともなかったかのように再び始まるまで』(80分 7人)

1,100円

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作:久野那美 <台本冒頭> 地下にあるミニシアター映画館。休憩が終わり、もうすぐ次の上映が始まるのだろう。ロビーに出ていた客が戻り、客席が少しずつ埋まり始める。 F 改めまして、ご来場のお客さまにお願いがございます。携帯電話は音が鳴らないように設定して頂くか、電源からお切り下さい。 火事や地震などの有事の際は係の者が安全に誘導いたします。その時は、指示に従ってください。 この後客席は再び暗くなります。 客席が暗い間は、声を出したり声以外の音を出したり立ち上がったり座ったまま激しく動いたりなさらないようご協力お願いいたします。 正面以外をご覧になりたい時は、立ちあがらず、 座ったまま腰から上の身体の向きだけを変えるようにしてください。外に出たくなったときは後ろの扉から静かに退出してください。 遅れてこられるお客様は、他のお客様に気づかれないように静かに席についてください。 終了までまだまだ先は長いです。休憩中はロビーにて、飲み物や食べ物を補給してください。 本日は、「当映画館10周年記念企画、春のWAKUWAKU映画まつり」にご来場いただきましてありがとうございます。当館選りすぐりのラインナップを、明日の朝までごゆっくりお楽しみ下さい。 もうまもなく、3本目「アメイジング・スペース」の上映が始まります。みなさまお席にお座り下さい。 映画が始まった。スクリーンに映し出される映像。 オープニングに流れる字幕。 "よく、物をなくす子供だった。 探しても探しても、みつからずに泣いている私に 母は、もっとよく探しなさいとは言わなかった。 「探しても見つからないものはある。でも、 探さなかったものが見つかることもある」と言った。 それには、いつ、どこで出会えるのだろう" 見入る観客。ポップコーンを食べる音。すすり泣き、笑い声… 映画は進行する。 やがてエンドロールが流れ始める。 遅れてきた客がひとり、静かに通路際の座席に座る。 突然奇妙な音と共にスクリーンに閃光が走る… 一瞬のざわめきの後、館内は暗闇と静寂の中に沈み込む。何が起こったのかわからない。 映写機の事故だろうか? 暗い。そして静まり返っている。 どうやら皆眠っているのだ。 起きている者もいるのかもしれないが、暗いのでわからない。深い眠りの中で、各々が夢を見ている。 …と思いきや、席を立ち、あたりを見回す者がいる。(B) 何かに誘い出されるように立ち上がり、スクリーンの方へ踏み出す。 暗闇の中、小さなあかりがついた。反対側の通路際の後ろの座席からAが懐中電灯で照らしている。Aの持つ灯りがBの姿を追う。 A 誰。 B え?!誰が誰? A 有事の際に安全に誘導してくれる係の人? B 違います。 A ・・・動かないで。 B はい。 A 何してるんですか? B 僕は、映画を観ていたんです。 A 映画を観ていた? B 映画を観ていたら、突然こんなことになって… 双方用心して様子をうかがっている A (しばらく考えて)…「オープンザドアー」 B え?…(意味が分からない) A 「大法螺の鳴る丘」 B ん?! (手で腿の外側をたたく) A あっ! (あとずさる)…… 「アメイジング・スぺース」_ B う………煙の見える窓! A んん…「インターミッションコンプリート完結編」 B (不敵な笑み) ひらめきのV A な…っ!…「レフトオーバー・フッテージ」 B うううっ!(あとずさる)(翻って不敵な笑み)…「Xからの手紙」!! A え?………………午前3時のメール? B あ……(力尽きる) A (体制を整える)素早い回答。あなたは、映画ファン…? B そうです! A つまり映画を見に来た人? B そうです!映画館なんで。 A テロリストとか銀行強盗とかではなく? B …映画館なんで。 A 有事の際に誘導してくれる係の人でもなく? B 僕は!映画を!見ていたんです! なんでこのタイミングで中断するんですか。途中で止めたらフィルムが痛むじゃないですか。 A 誰かがわざと止めたんですか? B いや…それはわからないですけど   B、暗い中で状況を把握しようとあちこち触る。

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