











2020年2月 神戸アートビレッジセンター 蛸の階公演映像
高知・関西演劇協働企画
脚本・演出:久野那美
<物語>
語り得ぬものについて沈黙しないために。
灯台守は悲しかった。灯台を守ることができなかった。
そこは本物の灯台ではないし彼は本物の灯台守ではなかったけれど。
腕章の男も悲しかった。日の当たらない名もない場所を美しい公園にしたかったのに。
写真家の男は悲しかった。目的なのか伝説なのかもはやわからなくなった風景を探して海岸線を歩いていた。
赤い靴の女は悲しかった。だから逃げることにした。逃避行は目的のない旅なので行けるところまで行こうと思った。
新進気鋭のミュージシャンは悲しかった。ニセモノから始まった自分の音楽の全てが。今自分がここにいるのはきっと始まりが間違っていたからだ。
招かれて来た男は語った。ニセモノは、誰かのヒーローになるために嘘をつくんだよ。
唄うたいは灯台の上で歌っていた。
港の形の公園が今日ひっそりとその役割を終える。
伝説のミュージシャンMr.Xを招いて行われるクロージング・フェス。その日そこで歌われる歌は…
行き止まりの町のニセモノの港のおしまいの日の物語。
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CAST
唄うたい:山村誠一
腕章の男:七井悠(劇団飛び道具)
赤い靴の女:柴千優
灯台守をしていた男:根本コースケ※神戸公演のみ
海の写真を撮る男:中城賢太(カラクリシアター)
招かれたので来た男:佐々木峻一(努力クラブ)
ギターを弾く男:湊游(劇的★爽快人間)※神戸公演のみ
舞台監督・照明:葛西健一
音楽・音響:山崎康弘(ゆっくりとじていく。)
美術:岡内宏道(TRY-ANGLE)
演出補佐:吉良佳晃(劇団プラセボ / 劇団33番地)・オカザキケント・吉村篤生(劇の虫)
制作:吉田剛治
制作アシスタント:古川佳代子・藤坂優馬
スチール写真撮影:beni taeko
フライヤーデザイン:立木幹生
主催:階
共催:NPO蛸蔵・神戸アートビレッジセンター(指定管理者:(公財)神戸市民文化振興財団)
企画・制作:蛸の階